魔性の言葉「激辛」
それは人々にとって癖になるような食欲を刺激する要素である半面、兵器ともなりうるほどの危険性をも含んでいる。
日本国内でも数々の激辛商品が展開され、それは時に罰ゲーム的な意味合いを持つジョークグッズとして取り扱われることも多い。
しかし、その激辛の飛び上がるような刺激の虜となったが最後…
激辛を求め探究を続ける冒険者(ゾンビ)となってしまうのである。
今回はそんな探求者が最強の辛さに挑む激闘の記録をここへ綴る。
そもそも辛さの順位ってどうやってわかるの?
辛さには単位がある。
一般的にはスコヴィル値と呼ばれ、その値が大きければ大きいほど辛いとされている。
スコヴィル値(英語: Scoville scale)は、唐辛子の辛さを計る単位である。トウガラシ属の植物の果実にはカプサイシンが含まれ、このカプサイシンが辛味受容体の神経末端を刺激する。スコヴィル辛味単位 (Scoville heat units, SHU) はこのカプサイシンの割合を示す。多くのホットソースはスコヴィル値を売り文句にしている。1912年にスコヴィル味覚テスト(Scoville Organoleptic Test) を考案した化学者、ウィルバー・スコヴィルの名から名づけられた。
今回はこのスコヴィル値を使って身近なものとの比較を交えて説明していこうと思う。
先ずは良くあるタバスコ・ソース。
これは物にもよるが辛くても2500~5000スコヴィルとされている。
一般的にパスタなどにもかけて食される商品で酸味が強いのも御馴染み。
だが、良く考えて欲しい。
そもそもタバスコを単体で飲むシチュエーションはそれほど無いのだ。
あくまで調味料としての使用であの辛味。
それが2500~5000スコヴィルだと認識して欲しい。
食べ物として最強の辛さはというと「キャロライナ・リーパー」と呼ばれる唐辛子が世界一辛い唐辛子としてギネスに登録されているようだ。
リーパーとは「死神」を意味する言葉で、食品である唐辛子に対してその名前を付けるという事は生産者が激辛好きを殺しにかかっているという事は言うまでもない。
…最早食べ物かと言われるとそうでもない。
そのスコヴィル値は157万程…インフレにも程がある。
数値は激辛をウリにしている市販品では公表されている事も多いが、飲食店などで提供されている激辛商品の多くは正式なスコヴィル値は公表されていない。
日本国内で最も辛い激辛商品は何なのか?
蒙古タンメン中本の「北極」、はたまた大阪の辛いもんやギロチンが提供する「ギロチン炒飯GOD」など激辛で有名なお店は数あれど、そのスコヴィル値は推測の域を出ないため比較が難しい。
現在国内で売られており辛さが数値として公表されている激辛商品で有名なのはブレア社が販売する「サドンデスソース」なのではないかと考えられる。
デスソースはサドンデス以上の辛さの物も存在するが、そもそも国内で販売されているデスソースは4種類のみ。
その中で最も辛いとされるサドンデスソースは100,000スコヴィルとされ、最早ここまでくると通常の調味料と言うよりは激辛罰ゲーム用のジョークグッズである。
…ジョークとしても笑えない。
韓国の激辛商品「ヘクブルダックポックンミョン」
そんな中見つけた激辛商品がこちら。
ツイッター等のSNSを賑わす激辛の本場韓国で有名な炒め麺とのこと。
「辛ラーメン」が比較的有名な韓国の辛いラーメンだが、今回挑戦したのは「本場韓国の方でも辛くて食べられない」と言った事案もあるほど強烈なものとの事。
ちなみに、現在韓国で最も辛いとされているインスタント麺は「トゥムセラーメン」と呼ばれるもの。
スコヴィル値は9,413スコヴィルとされ、食品としては最早異次元の世界の食べ物。
今回挑戦したのは「ヘクブルダックポックンミョン」という炒め麺。
実は「ブルダックポックンミョン(火が出るほど辛い鶏の炒め物)」という今回食べたもののベースとなる商品が存在し、それが4,404スコヴィルを誇る。
この時点で気が狂う程辛いのはお察しの通りだが、今回はそのプルダックポックンミョンに「ヘク(核)」という恐ろしい名前がプラスされたもの。
そのスコヴィル値は通常の2倍。つまり8,808スコヴィルにもなる。
そもそも現在韓国で最も辛いトゥムセラーメンも昨年までは8,557スコヴィルであり、その後発売された今回のヘクプルダックポックンミョンが実質1番辛いインスタント麺であった。
このままではいかん!とトゥムセラーメンは昨年リニューアルし現在の9,413スコヴィルまで辛味を上げることに成功。
実質1番辛いインスタント麺へトゥムセが返り咲いたという「スコヴィル戦争」が行われるほど激辛界の人気を2分する商品であるとのこと。
ただ、考えてみて欲しい。
正直そういう問題ではないのである。
今回は無謀な挑戦とも思えたこの「ヘクブルダックポックンミョン」に挑んだ勇者たちの記録である。
開封。
初めにお断りしておきますが、私韓国語はまったく読めません。
ところどころ英語表記はありますが伝わってくるのは「辛いよ!」というメッセージ性だけ…
袋の中には一般的なインスタント麺、ソース、ふりかけ…と思われるものが封入されております。
麺は日本の物より若干太麺でこれだけ見ると美味しそうな雰囲気すら漂ってきます。
このプルダックポックンミョンは炒め麺、いわゆる焼きそばみたいなものなので汁は無い様子。
調理方法としては一旦麺をゆで、お湯を若干残して残りは全て捨てソースとふりかけを混ぜ込むといったもの。
そして、出来上がった様子がコチラ。
何とも言えないちょっと美味しそうな薫りは漂ってきますが、何か様子がおかしいです…
鼻がムズムズする。
恐らくカプサイシンによるミクロの攻撃を既に受けているのだと推測されます。
さて、早速混ぜてみるとホラー映画も真っ青な程の鮮明な赤色が印象的。
しかし、我々にはこういうときに頼りになる男がいます。
そう。我らが激辛担当のアッキーさんであります。
彼に辛いと言わせるために方々より激辛商品を取り寄せ彼に与えてきましたが、未だに彼が悶絶するほどの商品とは出会えていません。
アッキーさんはおもむろに箸を手に取り麺を持ち上げました。
照りのある油の赤が麺に絡み、食べてはいけないオーラを放っています。
…だが、いつもそうだった。彼はいつもその壁を越えてくれた。
今回も普通にそれをくちに含み咀嚼しはじめた。
念願叶った瞬間である。彼の口から次々ともれる言葉。
その一言一言が「ついにやってやったぞ!」と言う私の達成感をくすぐるってくれます。
だが、良く考えてみて欲しい。
…この後自分も食べなければいけないのである。
あの辛さに強いアッキーさんがこれだけ辛味を感じている…
つまり、辛味耐性が普通の自分がこれを食べることは即ち死を覚悟しなければいけないことと同義でありました。
ただ、後には引けない。なぜならお金を出して買っているから。この日の為に…
かなりの恐怖で足はすくみ、視界はぼやけてくる。
自分も辛いの得意ではないまでも辛辛魚や大炎上唐辛子など激辛とされている商品はキッチリ食べてみたじゃないか。
以前の自分では無い。
身勝手の極意を極めた今の自分なら大丈夫…奮い立たせるんだ…
全く太刀打ちできない未知の辛さ。
結論から言います。
全然イケません。むしろ常人は食べてはいけません。
口に入れた瞬間若干この商品の味のような何かがふわっと薫ります。
しかしその直後、刺すような細かい痛みが襲ってくるのです…
よく話に出てくるような辛味では無く本当の痛み。
そのチクチクと刺さる痛みが延々と口内を攻撃し続けます。
そんな走馬灯のような思いがめぐるも、なかなか痛みは引いてくれません。
そもそも何かを食べるにあたって過剰に反応することはしないのがポリシーの我々。
しかし、そんな余裕もないほど大声で叫んでしまうなさけなさ。
恐らく人生で食べたものの中で最も辛いものだったかもしれません。
結論。これはあかん。
食べ物としての8,000スコヴィル超は常人が足を踏み入れてはいけない領域です。
「普段カレーは辛口食べてるし、辛い物が好きだから」といった程度の経験値で食べるとちょっと痛い目見ます。
ちなみに口の痛みが引いた後は唇が異様にひりひりし始め、早い方で数時間後にはお腹にキます。
その後は…もうおわかりですね?
ただし、世の中には想像を絶する激辛耐性を持った猛者がいることもまた事実。
通常の激辛商品では涼風程度にしか感じられないという貴方!是非とも試してみてはいかがでしょうか。
※あくまで自己責任でお願いいたします。
美味し…というか辛かったです!
御馳走様でした!!
⇓⇓⇓実際の様子はyoutubeにて!⇓⇓⇓
中学2年で全部食べれましたよ