皆様は学校給食と言えば何を思い出しますか?
小学校や中学校は各エリアの給食センターなどから運ばれてくる思い出のメニュー達。
そんな給食メニューのスター戦士『ソフト麺』を覚えていますか?
- 知ってる!懐かしい!大好きでした!
- …なにそれ?あんまり聞いたことないなぁ。
地域や世代によって大きくリアクションが異なるであろうこのメニュー。
今回はその思い出の『ソフト麺』にスポットを当てて掘り下げて行こうと思います。
そもそもソフト麺って何?うどんじゃないの?
ソフトスパゲッティ式めん(ソフトスパゲッティしきめん)は、学校給食向けに開発された日本特有の麺である。通称は「スパうどん」または「ソフトめん(ソフト麺)」。以下この項目では「ソフト麺」として説明する。地域により知名度にかなり差があり、特に関東や東海では馴染み深いが、そうではない地方では全く知名度はない。
一般的に給食で良く目にしたソフト麺と呼ばれるものの正式名称は「ソフトスパゲッティー式麺」との事。
そもそもはスパゲッティーのような使い方として使われるのが本来の用途の様です。
その太さから「うどんに似たもの」としての扱いを受けることも少なくないですが、うどんは一般的には中力粉・薄力粉から作られるのに対して、ソフト麺の主な原料は強力粉。
しかも、ソフト麺はそもそも学校給食用に開発されたものとの事。
一度蒸した後茹でることによってうどんや素麺に比べ伸びにくく消化に良く、その柔らかさ故にスパゲッティーとしてもうどんとしても使用できる万能食材なのです。
ソフト麺の歴史
1960年代、当時パンのみであった学校給食の主食を増やすために開発され、東京都が学校給食に採用をしてから各地で採用されていった。それゆえ関東地方や東海地方と、中国地方の一部ではよく知られている一方、東北、関西、四国、九州(沖縄県を含む)、北海道(札幌市を除く)、北陸・甲信越の各地方では、ほとんど知られていないことがある。他の主食と同様に、自校給食の場合でも調理されて蒸しあがったものが業者から納入される。
当時は美味しくないことで不評であった給食用パンに端を発する給食嫌い(給食離れ)が進行していたが、アメリカ産小麦の輸入と消費を維持するという大前提から、米飯は導入されなかった。1970年代後半から米飯給食の見直しが進められ、現在では米飯給食の普及や他の麺の登場によりソフト麺には学校給食として往時の勢いはないが、懐かしさからまた食べたいと望む声が多いため、コンビニ弁当や通信販売等で入手することができる。『思い出の給食』アンケートをとると関東地方では常に上位に位置するメニューでもある。
出荷の際に40分ほどの時間をかけて90度の蒸気殺菌を行う為、ほかの麺に比べて調理に手間がかかる。そのため、学校給食での献立からは姿を消しつつある。東京都では2015年に学校給食会において「規格外」とされ、定番メニューからはすでに外れている。
要約すると、以前は給食に出されていたのはパンのみ(アメリカ産小麦との兼ね合いで米飯はNGであった)であり、その当時の単調な主食のバリエーションの1つとして開発されたのが今回のソフト麺とのこと。
地域によっては根強く愛されていた一方、全く普及していない地域もあり、現在でも「ソフト麺?なにそれ?」という方も少なくないようです。
そして現在では米飯給食の普及や、ソフト麺の手間のかかる工程(当日に蒸気殺菌⇒温かい状態で学校へ届けなければいけない)が原因で各地の学校給食から外れてきているとのこと。
あの思い出の味ソフト麺、最近では姿を消しつつあるって本当!?
上記記載通り1965年全国に先駆けて給食にソフト麺を採用した東京都は既にソフト麺を規格品から外しています。(=給食には出していない。)
ソフト麺以外の麺のバリエーションも増えていることに加え、ただでさえ「1週間のうち3、4回は米飯にしましょう」とのお達し(平成21年文部科学省『学校における米飯給食の推進について』より)により米飯を提供する回数が増えているため、パンと麺…特に麺の出番は減っているのが現状の様です。
更に少子化が進み『手間のかかるソフト麺はちょっと…』という業者が増え撤退・廃業が進んでいるのが現状の様です。
ちなみに私の住む長野県では「給食に出す麺のラインナップ(=学校給食会の規格品)がソフト麺だけ!」ということもあったというソフト麺にはゆかりのある地域のようです。
そんな長野県でも今回のように撤退する業者が目立つようになって来たとの噂。
もはやソフト麺は「学校給食の定番」から「思い出の食べ物」となりつつあるようです。
ソフト麺。給食ではどんなソース(スープ、あん)で食べていた?
麺を丸缶で提供されたソースにドボンと投入。
今回色々と調べた中でもソフト麺はどんなソース(スープ、あん)にかけて食べていたか?についても色々なお話をお寄せいただきましたのでご紹介したいと思います。
- ミートソース
- カレーソース
- 中華醤油スープ(筍や椎茸)
- 中華あん
- 味噌汁風
- 長崎ちゃんぽん
- ビーフシチュー
- 肉みそ
- めんつゆ
愛知県などでは味噌ベースのタレをで絡めて食すこともあるとのことで、その食べ方も地域によって様々。
これも地域差や世代差がかなりありそうなので、引き続きご意見お伺いしたいところ。
※お寄せいただいた情報は随時追記して参ります。
ソフト麺は今どこで食べられるのか?どこかで買えるの?
長野県ローカルスーパー『ツルヤ』で買える関本製麺のソフトメン
ツルヤは長野県東信地区を中心に36店舗を展開する地元でも有名なチェーン店です。
そのツルヤでソフト麺が売っているとの情報を頂き、早速買いに行ってみました。
下段にうどんが並ぶ中、中段に堂々と並ぶソフト麺。
「せきもと」(関本製麺)という会社が製造元となっており「学校給食でおなじみの」が売り文句となっております。
給食のイラストを使い、どこか懐かしさを感じられるパッケージです。
このソフト麺の分類は「ゆでうどん」との記載があります。
スーパーマーケット『バロー』で買えるおきなやのおかずスパゲッティ―
東海、甲信越、北陸、近畿に230以上の店舗を持つ食品専門スーパー『バロー』の売り場でもソフト麺を発見いたしました。
『おきなや』のおかずスパゲッティ―(たらこ・トマト)。
本当はたらこを食べたい気持ちを抑えて今回はトマトをチョイス。
このおかずスパゲッティ―は2人前で1袋で、粉状の調味料付きです。
私の住む長野県松本市で身近で買えたソフト麺は以上2つでした。
ちなみに以前は、東洋水産のちびまるこちゃんが描かれたソフト麺を見かけたことがありましたが今回は発見できず。
ネット通販を探してみたところいくつか見つけましたので『近くに売っていない!』と言う方はこれを利用するが良いかと思います。
思い出に浸りながらソフトめんを食べてみた!
おきなや株式会社のおかずスパゲッティ―(トマト)
まずはコチラを食べてみようと思います。
内容はソフト麺と調味料のみ。このソフト麺は基本的にフライパンで炒めるのが基本の様です。
本来であれば玉ねぎやウインナーを加え豪華にしていくようですが、今回は麺を楽しみたいのでこのまま炒めてみます。
軽く油を引いて麺をほぐしていきます。
御覧の通りソフト麺と呼ぶには少し細い気もします。
そして調味料を加えてさらに炒めていきます。
予想以上の赤さにちょっとびっくりしました。
これが炒め終わった御姿。
疑いようがないくらいただの具無しナポリタンです。
それではいただいてみましょう。
良い意味でチープなトマトの酸味と甘みが印象的で、そのままいただくのは勿論パンに挟んだり広い用途で使えそうなお味です。
そう。確かに美味しいのですが、正直この商品は給食で出ていたあの思い出のソフト麺からは相当離れたものでした。
関本製麺のソフトメン
今度はこちらをいただいてみます。
ソフト麺と言えば箸箱やものさしを使って分割するのが基本なのでそこも再現してみました。
ダイナミックにそのまま丸缶の器にドボン!と投入する男らしいスタイルもあるようですが、私はお上品にも箸の入れ物を使って分割して食べておりました。
麺をぐりぐりと押し切る形になるので、よくよく考えればこの時点で麺の食感やのどごしに関しては最早どうでも良かった…とも言えるでしょう。
開封した様子がこちら。
さきほどのおきなやのものと比べると思い出のソフト麺に近く感じます。
…そして、改めて裏面の作り方を見て見ると「お湯を沸かし麺を袋から出して約1分温めてください」との記載を発見いたしました。
愛しさと切なさを噛みしめながら次の工程へ。
無情にも箸箱で意味もなく2分割された麺をお湯でササッと温めていきます。
そして茹で上がりがコチラ。
見た目に関しては思い出のソフト麺にかなり近いです。
先ほどはトマトソースだったので今回はカレーソースと見立ててレトルトカレーでいただいてみます。
不味くなる要素は無いので、味は勿論美味しいです。
この色白のビジュアルとコシの無いグニグニした柔らかい食感…
確かにこれはソフト麺…ぽいです。
思い出のソフト麺と何となく似ているのはわかるのですが、なんか違うような気も。
記憶の彼方にあるソフト麺と何か違うのか…記憶が鮮明なわけでもないのでどこが違うのかは正直解りません。
少なくとも今回の調査では、ほかほかのまま給食で提供されていたソフト麺にはそれなりに手間がかかっており、子供の食育の為色々な方が知恵を絞って作り上げてくれたものなのだと実感いたしました。
このソフト麺も、雰囲気を味わいたい方にはもってこいの商品であることは間違いないです。
ソフト麺の現状を実際に問い合わせてみた!
まずは長野県松本市西部給食センターに聞いてみた!
あまりにもソフト麺が気になって手の震えが止まらない症状が続いたので、私の住む長野県松本市の給食センターに電話で問い合わせてみました。
お聞きした内容をまとめると以下の通り。
- 長野県松本市ではかなり前からソフト麺は扱っていない。
- 現在松本市周辺では四賀村の一部で取り扱いがあると聞いたことがある。
- ソフト麺を取扱う業者の数も正確には定かではないが減っているのではないか。
- その他麺においては丸缶のスープに初めから投入されているような伸びにくいタイプのうどんなどはあるが、ソフト麺のような別に麺が出されるという事はほとんど無い。
※御親切に細かく教えていただきありがとうございました!
新潟県『関本製麺』に聞いてみた!
今回入手できたソフト麺のうちローカルスーパーの『ツルヤ』で手に入れたソフト麺がイメージに近かったような気がします。
そのソフト麺の製造元、新潟県の『関本製麺』に早速電話凸して聞いてみました!
電話の内容をまとめると以下の通りです。
- 関本製麺では現在でも給食用としての出荷も行っている。
- ソフト麺を取り扱う業者自体は具体的にはわからないが、恐らく減っているのではないか
と思われる。 - ソフト麺自体が定番ラインナップとして物凄く売れる商品では無いが、現在では「懐かしのソフト麺」としての扱いでイベントに使用されることも多い。
- 基本的には強力粉を使用で少量薄力粉を混ぜている。
- 作り方自体は以前と変わらないが使用している粉の質が以前とは全く違う。殺菌工程等も給食で食べるものと量販店で買うものは違うと思われるので、その点で味の違いを感じる方がいるのかも。
※御親切に細かく教えていただきありがとうございました!
『スーパーや量販店で買えるソフト麺は給食の物とは違う気がする』といった声が多く聞かれましたが上記理由が大きいようです。
そもそもスーパーなどで販売されているものは最後に自ら茹でたり加熱する必要が御座いますのでその辺りも給食との違いがありました。
ソフト麺の業者に関する情報も皆様から沢山お寄せいただいておりますので、以下抜粋してお届けいたします。
- 埼玉県では『山田うどん』のソフト麺が超定番だった。
- 群馬はシマダヤの子会社の製造だった。
- 昭和40年~50年ごろ安曇野市では以前は千筋屋という業者が給食用ソフト麺を製造していたが、現在は業種変更したよう。
- 長野県の南信地区では服部製麺が製造している。
- 長野県軽井沢でも製造しているところがあり(恐らく新軽井沢)、東部小学校で食べたソフト麺は絶品だった。
- 「ヤマタ」という業者が製造しており「ヤマタノオロチ麺」等と呼ばれていた。
そんなソフト麺、新メニュー開発など新たな試みも。
【近江八幡】 県製麺工業協同組合(冨江彦仁理事長、近江八幡市、組合員数14)はこのほど、学校給食での人気メニュー「ソフトめん」を家庭の食卓でも味わえるように一般小売向け商品「近江ソフトめん」(写真)を開発し、県内のショッピングセンターや道の駅など17店舗で販売展開している。
滋賀県は2018年から「近江ソフトめん」を県の新たな名物にしようと乗り出しているとのこと。
ソフトめんの伸びにくくソースに絡みやすい特徴を活かしたメニュー開発や、毎月第三土曜日を「ソフトめんの日」とするなど本格的に普及活動を進めている様子。
勿論ターゲット層として昔ソフト麺に慣れ親しんだ方々も入ってくると思うので、そこからソフト麺を知らない方にも素晴らしさが広がっていくのはとっても素敵な事だと思います。
思い出の味としての地位を確立していくのか。
それともソフト麺の新しい可能性を発見し広く普及していくのか。
給食では食べられなくなってきてしまったとは言え、今後のソフト麺の動向には要注目です。
【まとめ】ソフト麺の今、徹底的に調べてみた!
学校給食で定番であったソフト麺ですが、様々な事情により徐々に給食から徐々に消えているのは間違いなさそう。しかし「思い出メニュー」としての絶対的地位は変わらずに「新たなソフト麺の可能性の模索」も続いているようです。
「給食の定番」としての枠を飛び出し始めたソフト麺。
今後も動向に注意しながら動きがありましたらお伝えできればと思います。
今後もヤミツキマツモトに注目してください!
美味しかったです!
御馳走様でした!
調べていくうちに個人的に懐かしい食品も沢山ありましたので、「懐かしい!」と思った方、久しぶりに試してみてはいかがでしょうか?
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